「アソビーノスコープ」では、風俗業界で起こっている時事的なあれこれを、時にはまじめに、時にはゆるりと追っかけます。 今の風俗を見れば世界が見えてくるっ?!
ぼったくりは無くなったのか…?!
条例施行後も減らない違法客引き
「月刊マンゾク九州2012年2012年10月号」掲載
客引き行為を禁じる条例の施行以来、確かにぼったくりの被害は表立っては聞こえてこなくなってきた。しかし本当になくなったのだろうか。中洲の今を探る。
▲九州の目抜き、中洲大通り。きらびやかなネオンが並ぶこの地で 客引き行為が撲滅される日は来るのだろうか。(写真はイメージです)
 
客引きは完全なる違法行為
言い寄られても断固拒否をっ!!
 中洲の大通りから南新地にかけてひとりでふらふら歩いていると、スーツ姿の男性に次から次に声をかけられる。読者の中にも経験したことがある人は多いだろう。なかには「案内所のものです」と言ったり、雑誌を片手に「この雑誌を発行している会社です」と騙ったりする。そう客引きだ。いまも街を歩けば普通に目にする光景だが、これは完全なる違法行為なのだ。
 2006年12月に施行された風俗関連業界への勧誘や客引き行為を禁じる条例により、これらの行為はすべて違法となっている。たしかにこの条例の施行以来、ぼったくり被害に遭ったという話はほとんど聞かなくなった。中洲に設置された48台の監視カメラもそういったぼったくり抑止に効果を発揮しているのだろう。しかし、本当に姿を消したのだろうか。条例施行以前、九州一の歓楽街である中洲では、多くのぼったくり被害が出ていた。例えば客引きがすり寄ってきて、「5千円でいい子つけますよ~」などと甘い言葉で勧誘。ついて行ってみると、最初は5千円だが服を脱ぐのにもう5千円など、細かな行為に追加料金が発生し結局大きな出費を強いられるという、いわゆるたけのこ剥ぎといわれる手口などが見られたのだ。結局全部で5万円支払いということもある。
 話を進めていく前に、まずぼったくりの定義を考える。ぼったくりとはズバリ、最初に提示された料金以上に取られることだ。さきほどの例を見ると、最初に提示されたのは5千円だが、普通に遊ぶのにそれ以上取られてしまうのでぼったくりとなる。こういった露骨な手口はなくなったが、実は形を変えてぼったくりと言うに値する行為は今も実際に行われている。それは無理やりな延長だ。特に一部のラウンジ、スナックなどの飲み屋に多い。これは、誘う手口は以前と一緒で客引きが客にすり寄り「今なら60分○千円で行けます」と店まで連れて行く。実際に言われたとおりの金額で楽しめるのだが、帰ろうとすると強引に引き止めたり執拗に延長を取ろうとお酒を飲ませたりしてくるのだ。その後請求されるのは最初から設定されている延長料金なので、ぼったくりではないというのが店側の理屈となる。
 また、ぼったくりとは違うが違法な客引きに付いていくことでユーザーが不利益を受けることはまだまだある。被害を受けたという27歳フリーターのNさんに話を聞いてみた。現在南新地では深夜営業が禁止されているが、客引きが「まだ開いてるところありますよ」というからついて行ったそうだ。お酒が入って酔っ払っており、そのときは深夜に営業をしてはいけないとは知らなかったというNさんは、誘いについていくと、裏口から店内に案内された。しかし、遊び終わって帰ろうと準備していると、店員からコールが入り「そのまま少し待機していてください」と言われた。いくら待っても連絡がなかったので業を煮やしコールすると、店員が慌てた表情で部屋にやってきて「警察の見回りが来ているのでこのまま中で待ってて! じゃないとあなたも逮捕されるよ」と言われとんでもないことに巻き込まれたと一気に酔いが醒めたとか。結局朝まで店から出してもらえなかったという。
▲このマップは中洲エリアでの客引き多発エリアを示すものです。 黄色で囲んでいるのが客引き多発エリア
 
違法な客引きが横行する中洲
店長が紹介料目当てで…
 取材を進めていくなかで、中洲に詳しいMという人物からこんな話も聞くことができた。「普通にお店にやってきたお客さんに対し、店長が今はお客がいっぱいと言って断るんだ。そして代わりに姉妹店と言って別の店を紹介する。店長がそこと繋がってるわけだよ。そして手数料をもらってるわけさ。だいたいひとり紹介すれば手数料が5千円だから、1日10人紹介したら5万円もらえる。20日間やれば100万だよ。そりゃあもうやめられないよね。オーナーはそんなことが行われているなんて知らなくて最近客が減ったと嘆いているんだ」。これも客引きという行為の弊害である。客引きを利用するお店が増えれば増えるほど、実際には必要のない手数料という名目で余分なお金が出て行く。そのしわ寄せが風俗業界全体に蔓延していくことも考えられるのだ。
 結局のところ、この客引きを撲滅させるにはいったいどうすればいいのか。それは客引きを利用するお店を減らしていくこと。そしてユーザーが客引きには付いていかないという双方向からの改善が求められる。前出の事情通のM氏も「やっぱり本当の優良店は客引きを使ってないからね。それが答えだと思うよ」と語る。
 これから蒸し暑い日がまだまだ続く。飲みに出て中洲の街を徘徊することも増えてくるだろう。その際あなたに忍び寄ってくる客引きにキッパリNOと言い、付いていかないこと。まずはここから始めようではないか。
▲今回話しを伺ったM氏。彼自身も毎日執拗な客引きに逢っているという。
 
MEMO
ひとりお客を捕まえれば5千円?!
客引きが手に入れる手数料の相場
客引きがお店に客を連れて行くと手数料が発生する。だいたい飲み屋が3千円で、ソープランドになると5千円くらいが相場となる。お店によっては1日20万円以上も手数料として払っているケースもあるという。そのしわ寄せはどこに?
 

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